「初めての不動産で、こんなに大きな買い物をしていいんでしょうか」
5回目の面談で、そのお客様は少し涙目になっていました。怖さと、それでも前に進みたい気持ちが、同時にそこにあった。今日はその方の話です。
京都・大阪で20年以上、投資用マンション営業の現場にいる鍛太(けんた)です。宅建士。「1件の話」として書きます。個人が特定されないよう、細部は変えています。
初めての不動産は、自分で住むための1戸だった
会社にお勤めの独身女性。当時30代後半。最初の1戸は投資ではなく、ご自身で住むための購入でした。初めての不動産で、大きな金額。面談は5回に及びました。
ここで私がやったことは、説得ではありません。5回は「説得の回数」ではなく、怖さが決断に変わるまでの時間でした。急かしていたら、怖さの側が勝っていたと思います。最後の面談で、涙目のまま「進めます」と言ってくださった。
2戸目は、年末の家電量販店で
数年後、2戸目のご相談。とても忙しい方で時間が取れず、お会いできたのは12月31日の夜、家電量販店の中でした。話の途中で閉店になり、「年始にまた会いましょう」と別れて、暗い道を帰ったのを覚えています。年が明けて1月、ご契約いただきました。
2戸目は最初から人に貸す前提でした。理由は2つ。「税金が高い」。そして——
「結婚するかどうか分からないので、老後の収入源を持っておきたい」
「自分の老後は、自分で組み立てる」という動機
この言葉を、私は現場で何度も聞いてきました。医師や経営者の「相続対策」とは違う、もう一つの不動産の動機です。誰かに頼らず、自分の老後の収入を自分で用意しておきたい。単身で働いている方、特に女性から聞くことが多い。
この方は今、最初の1戸も賃貸に出し、2戸のオーナーです。管理は今も私の会社で担当しており、お付き合いは15年以上になります。「初めての不動産で涙目だった方」が、今は2戸を貸して収入を得ている。
読者の方へ|「自分で住む1戸」が投資の入口になることがある
この話から、お伝えしたいことが2つあります。
1つ目。怖いのは正常です。初めての不動産で怖くない人の方が心配です。怖さは「決めるな」の信号ではなく「調べろ」の信号。調べた上で数字が合うなら、怖いまま進んでいい。合わないならやめていい。それも立派な判断です。
2つ目。自分で住むために買った物件が、後に投資になることがあります。だから自宅を選ぶときも「将来、貸せるか・売れるか」——つまり出口を見ておいて損はありません。実需と投資の境目については、こちらに書きました。

まとめ
- 初めての不動産で怖いのは正常。怖さは「調べろ」の信号
- 「自分の老後は自分で組み立てる」は、相続対策と並ぶもう一つの動機
- 自分で住む1戸が投資の入口になることがある。自宅も出口を見て選ぶ
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きれいごとは言いません。一緒に知識を鍛えていきましょう。
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