「頭金ゼロで始められますよ。手出しなしで資産が持てます」
投資マンションの営業で、定番中の定番のトークです。
鍛太(けんた)です。京都・大阪で投資用マンションを売っている現役の営業マンです。
つまり、このセリフを「言う側」の人間です。だからこそ、今日はこの言葉の本当の意味を解説します。
先に結論です。
「頭金ゼロで買える」はメリットではありません。「借入額と毎月の返済が最大になる」という意味です。
「頭金ゼロ」の仕組みをざっくり言うと
頭金ゼロ(フルローン)とは、物件価格の全額をローンで借りて買うことです。
2,000万円の物件なら、2,000万円をまるごと借りる。自己資金はほぼ使いません。
一見、夢のような話です。手元のお金が減らないのに、家賃を生む資産が手に入るのですから。
でも、お金の世界にうまい話はありません。使わなかった頭金の分は、そのまま「借金の重さ」に変わっています。
リスク1:毎月の収支がギリギリになる
借入額が大きいほど、毎月の返済額は増えます。
頭金を入れた場合と比べて、フルローンは返済が重い。その結果、「家賃収入−返済−管理費等」の手残りがギリギリ、あるいは最初から毎月赤字という状態になりやすくなります。
満室の間はそれでも回ります。問題は、空室になった瞬間です。
家賃はゼロ。でも返済と管理費は待ってくれません。全額、あなたの給料から出ていきます。
リスク2:金利上昇の影響をまともに受ける
借入額が大きいということは、金利が上がった時のダメージも大きいということです。
変動金利で借りている場合、わずかな金利上昇でも、借入額が大きければ返済額の増加は無視できません。
ギリギリの収支で組んだフルローンは、金利という自分ではコントロールできない要素に、家計を握られている状態です。
リスク3:「売るに売れない」状態になりやすい
私が現場で一番怖いと思うのは、これです。
フルローンで買うと、ローンの減りより物件価格の下落が先行しやすく、「ローン残債 > 物件の売却価格」という状態が長く続きます。
この状態では、売却してもローンを完済できません。差額を自己資金で埋めない限り、売りたくても売れない。
つまり、収支が苦しくなっても、逃げ道がないのです。
「フルローン=絶対ダメ」ではない
誤解のないように言うと、フルローン自体が悪いわけではありません。
自己資金を温存して他の投資や緊急資金に回す、という考え方は合理的です。属性が高く、余裕資金が十分にある方なら、選択肢になり得ます。
大事なのは、こういう条件がそろっているかです。
・空室が3ヶ月続いても、給料から補填して生活が揺らがない
・金利が上がっても耐えられる返済額か
・物件自体の収支が、フルローンでも黒字で回る水準か
逆に言えば、「頭金ゼロだから買えます」という理由でしか買えない状態なら、それは買うタイミングではありません。
営業マンへの確認ポイント
「頭金ゼロでいけますよ」と言われたら、この質問を返してください。
・「頭金を2割入れた場合と、毎月の収支はどう変わりますか?」
・「空室が3ヶ月続いた場合、月々いくらの持ち出しになりますか?」
・「10年後のローン残債と、想定売却価格を教えてください」
この3つに具体的な数字で答えられない営業から、フルローンで買ってはいけません。
まとめ
・「頭金ゼロ」=借入と返済が最大になるという意味
・空室、金利上昇、売却不能の3つのリスクをまともに受ける
・「買えるかどうか」ではなく「持ち続けられるかどうか」で判断する
・フルローンは、余裕がある人の選択肢。余裕がない人の入口ではない
きれいごとは言いません。一緒に知識を鍛えていきましょう。
▼次に読む:融資を1つの選択肢で押してこない、複数の金融機関を比較できる会社の選び方はこちら。


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