「売るときは、買ったところに頼むべきですか?」
売却のご相談で、最初によく聞かれる質問です。答えは「会社で決めるものではありません」。誰に任せるかは、もう少し違う物差しで決めた方がいい——今日はその話です。
京都・大阪で20年以上、投資用マンション営業の現場にいる鍛太(けんた)です。宅建士。売る側として物件を売ってきましたが、近年は「売りたい」というご相談を受けて仲介する場面も増えました。両方の立場から、正直に書きます。
まず基本|売却を頼むときの「媒介契約」は3種類
不動産の売却を業者に頼むときは、「媒介契約」を結びます。種類は3つです。
- 一般媒介——複数の会社に同時に頼める。自分で買い手を見つけてもよい
- 専任媒介——1社だけに頼む。自分で買い手を見つけるのはOK。業者は2週間に1回以上の報告義務
- 専属専任媒介——1社だけに頼み、自分で買い手を見つけることもしない。業者は1週間に1回以上の報告義務
ざっくり言えば、下に行くほど「1社に強く任せる」形です。どれが正解という話ではなく、任せる相手への信頼の度合いが、そのまま契約の形になると思ってください。
現場の話①|10年以上前のお客様が、売却を「専属専任」で任せてくれた
最近あった話です。10年以上前に初めてご購入いただき、その後もご家族の名義や法人名義で買い増しを続けてくださった先生から、「そろそろ1戸整理したい」とご連絡がありました。
その先生が選んだのは、専属専任媒介でした。「他には頼まない」という一番強い形です。正直、嬉しかったのと同時に、身が引き締まりました。買っていただいた時から今まで、値上がりも、金利の変化も、売った時も買い足した時も、ずっと一緒に見てきた。その積み重ねが、契約の形になって返ってきたのだと思っています。
ここで言いたいのは「うちに任せてください」ではありません。売却を任せる相手は、買ったときに「出口まで一緒に考えてくれた人」かどうかで決まる——それが現場の実感です。
現場の話②|物件の話をほとんどせずに、売却のご依頼をいただいた日
もう一つ。長くお付き合いのある70代の方と、売却のご相談で面談したときのことです。話題の中心は物件ではなく、来年からの税制の変更と、この先の資産の持ち方でした。「この物件をいくらで売るか」ではなく、「これからの資産全体をどう整えるか」を1時間以上話して、最後に「じゃあ、お願いします」と売却をお任せいただきました。
売却のご相談は、物件の相談ではありません。資産全体と、この先の人生の相談です。だから、査定額を出すだけの相手より、税制・相続・出口まで一緒に話せる相手を選んでほしい。これは売る側の本音です。
誰に頼むか|3つの見方
この2つの経験をふまえて、売却を頼む相手を選ぶ物差しを3つ挙げます。
①買ったときの担当者は、今もいるか
いるなら、まず相談する価値があります。物件の経緯を一番知っている人だからです。いない場合の対処は、別の記事にまとめました。

②「売る」以外の選択肢も一緒に考えてくれるか
「今は売らない方がいい」と言える相手かどうか。売却仲介は売れて初めて報酬になる仕事なので、「売りましょう」と言う方が業者には都合がいい。それでも持ち続ける・組み替えるという選択肢を出してくれる相手は、あなたの側に立っています。
③査定額の「高さ」で選ばない
売る側の本音として、これは書いておきます。業界には、高い査定額を提示して専任を取り、その後に値下げを促すやり方をする会社もあります。査定額はあくまで「その会社の予想」であって、売れる値段の保証ではありません。複数の査定を見るなら、金額の差より「なぜその金額なのか」の説明の質を比べてください。
まとめ|任せる相手は「会社」ではなく「出口まで一緒に考えた人」
- 媒介契約は3種類。信頼の度合いがそのまま契約の形になる
- 売却の相談は物件の相談ではなく、資産全体とこの先の相談
- 選ぶ物差しは「担当者が今もいるか」「売らない選択肢も出せるか」「査定額の高さで選ばない」
「売るかどうかはまだ決めていない。でも一度整理したい」——その段階のご相談が、実は一番価値があります。公式LINEでは売り込みではなく、現状整理のお手伝いをしています。「話だけ」で大丈夫です。
きれいごとは言いません。一緒に知識を鍛えていきましょう。
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